第41回 21世紀国際書展

2026年7月2日

【韓国大使館 韓国文化院賞】

 

◆「一文字一文字心を込めて」韓国大使館韓国文化院賞の坂上さん 急逝の師に捧ぐ

受賞した坂上歴史芳さん(63)にとって、受賞作の「歩」には格別な思いがあった。

作品作りは、母親の介護を通じ「母がもう一度歩けたら…」という思いから始めた。だが、イメージするごとに、さまざまなことに思いが及んだという。

例えば、今まで自身が歩んできた道のり。今後の書家としての行く先。実際に書くにあたっても1画目をどこに配するのか、最後の線をまっすぐ引くのか、上に延ばすのか。毎日、試行錯誤を重ねた。

書を始めたのは小学生になる前から。以来、師の島川芳洲氏に師事した。60年近い書歴の中で長期間休むことがなく、「書を好き」という気持ちも失わなかった。

書を愛せたのは師の存在が大きい。「(受賞は)3月に逝去された島川先生が下さったのだという気持ちが強くこみ上げてきた」と話す。

受賞は書家としてのゴールではなく、新たなスタート地点だ。「基本を忘れず、その中に自分らしさも大切にしながら、人の心に響くよう、一文字一文字、心を込めて努力したい」と語った。

■坂上史芳(さかがみ・しほう) 天翔会所属。21世紀国際書会の創設メンバーで、今年3月に死去した島川芳洲氏に師事。21世紀国際書展には第1回展から出品している。趣味はピアノ。「書もリズムが大切」との師の言葉が支えだという。横浜市在住。

 

 

 

【中国大使館文化部賞】

◆「新たなスタート」父の背を追う 中国大使館文化部賞の遠藤さん

「第一に観る人に楽しんでいただけるような作品づくりを心掛けています」

受賞した遠藤吟翠(ぎんすい)さん(62)は、自身の作品づくりについてそう語った。

今回の受賞作は、中国・金代の詩人、蔡松年(さい・しょうねん)の七言律詩「初至遵化」。作者が初めて遵化という街を訪れた際に感じた心境や清新な自然風景を描いた作品。詩を読んだとき、のどかな自然と豊作の様子が対比的に描かれており、美しい風景が目に浮かぶようだった。

その美しさを、観る人にも感じてもらいたいと筆を取った。だが、美しい詩とは違って、作品づくりは苦難の連続だった。

線の強弱や太さ細さ、潤渇がイメージ通りにできず、筆に墨もうまく乗らなかった。書き上げてもバランスがうまく取れず、何度も書き直した。書いた枚数は100枚以上。作品づくりに打ち込んだ〝熱〟が受賞作には込められている。

師である父は21世紀国際書会を草創期から支えた故遠藤岑翠(きんすい)氏。母を含め両親への感謝の念を抱きつつ、「今回の受賞が新たなスタートだと思っている」。受賞を糧にさらに腕を磨き、21世紀国際書会の発展に尽力する。

■遠藤吟翠(えんどう・ぎんすい)新芸書道会所属。幼少期より、師匠で父親の遠藤岑翠に師事。銀行で勤務後、父の死去に伴って新芸書道会の会長兼理事長に就任。千葉県佐倉市在住。

 

 

 

【自由民主党総裁賞】

◆「独自のおしゃれな作品を」 自然体で創作 自民党総裁賞の秋野さん

作品制作にあたって、日々思いついたことをメモに書き留めている。受賞作は、雨上がりの美しい虹の情景をイメージしながら書いたが、そのメモにあった虹から着想したのだという。

受賞した秋野香花さん(76)は「虹を見ると、とても幸せな気持ちになる。日常のわずらわしさを忘れさせてくれた」と振り返りながら、「(受賞を)高2の孫が大変喜び、自分も(書道を)頑張ると言ってくれた。それがうれしかった」と語った。

小学3年生から書道を始めた。書歴は長いが、練習不足と感じることがあるという。上手に書こうとすると、思うような作品がかけないことも少なくない。だから心掛けているのは、自然体で書くこと。欲張らず、自らの心に従って書に接したことが、今回の受賞へとつながった。

「もっと古典を学び、書を楽しんで書けるようになりたい。独自のおしゃれな作品を作りたい」と秋野さん。年齢を感じさせない意欲もまた、受賞の礎となっている。

■秋野香花(あきの・こうか) 新書芸サロン所属。小学3年生の時に近くの書道教室に通い、師の望月香邨氏と出会う。その後、樋口昌香、山内冰石、杉山香春の各氏に師事。15年前の21世紀国際書展で準大賞を受賞。静岡県函南町在住。

 

 

【21世紀国際書展グランプリ】

◆グランプリの種田さん 書を通じ、人とのつながりの大切さ知る

所属する國藝書道院の書道教室に通って35年。地道な努力は、最高賞受賞という形で花開いた。受賞した種田桃心さん(46)は「受賞の重みに負けないよう今後も書の研鑽を重ね、より良い作品づくりに努めます」と受賞の喜びを静かに嚙み締めた。

作品は中国初唐の詩人、宋之問(そうじもん)の漢詩「和姚給事寓直之作」。官僚の姚給事が宿直の際に作った詩に応えて詠んだ五言排律(ごごんはいりつ)で、宿直の静かな夜やみやびやかな情景とともに厳かな雰囲気を感じさせる内容になっている。

制作にあたっては、墨がかすれた渇筆の「禁」を意識し、何度も書き直した。隣や上下の文字とのバランスに加え、線の強弱、墨の潤渇の具合、筆圧、余白のバランス。そうした細部にこだわりながら作品を仕上げた。

師匠の齋藤香坡代表、坂本香心会長の書を目標に努力を重ねてきた。「書道を通じ人とのつながりの大切さを学びました。(2人に)少しでも近づけるよう自己研鑽に励みます」と種田さん。その上で「次の世代に書道の楽しさ、奥深い魅力を伝えたい」と話した。

 

■種田桃心(たねだ・とうしん) 國藝書道院所属。書道を始めたのは小学生の11歳のころ。毛筆に自信がなく、友人が通っているのをみて「自分も上手になれたら」と思ったから。平成27年に21世紀国際書展準大賞、同26年会長賞を受賞。大和市在住。

■受賞者一覧(下)

【特別奨励賞

佐藤愛花

山本香舟

<第一・第ニ部門=2尺×8尺、2尺×6尺、3尺×6尺、全紙、聯落の漢字、かな、調和体、少字数、前衛、刻字>

【優秀賞】

伊賀上太壱

小山枝風

山本奏

山本栖峰

秀作

阿部湘花

石川溪秀

小野楊華

関根啓雲

竹川友香子

本間杏翠

入選

相上素山、相原久美子、有水紫昌、伊賀上綾子、池田宇鸞、池田桃舟、石川舟雪、石倉和実、井上悠、上田彩水、太田美幸、大平未虎、大西玉泉、大畠佳子、岡本竹穂、片岡秀峰、川口侑愛、北川彩泉、木村煌風、木村励、日下部彩風、栗本幸季、剱持雅天、剱持雅豊、児池璃香、河野幸峰、小﨑敬子、小嶋千恵子、今野弘貴、齋藤茂樹、齋藤陽喜、齋藤みひろ、坂本篤子、佐々木太陽、里井貴俊、佐野千花子、下岸朴石、杉山竹扇、鈴木範子、髙橋涼彩、武川希星、田中穂佳、田中清琴、角田秀蘭、永田雅龍、中村良介、奈良﨑早彩、成田天龍、成瀬雅霜、新倉静鳳、原口愛弓、原口穂秀、府川望茜、福井雅仙、福島寛史、藤本桂香、古木星那、堀緑道、正井盈虧、増田翠巡、宮本真弓、向山 麻未、村松和代、元木藤江、山内秀洸、横山達男、吉岡かつよ、吉村竹桐

 

<第三部門=全紙横1/2、半切の漢字、かななど>

奨励賞

石山晴子

笹本昌沐

秀作

井上紫楊

梅原薫

川角秀朋

佐藤紫峰

関口靖代

野口裕子

入選

浅沼知行、阿部里衣紗、天野栄恵、荒井舟麗、市川紫秀、市川紫乃、伊藤美枝子、浦部さち子、榎本召子、及川耕寿、大森和子、岡田康佑、加藤宥真、川田幸琳、神定久美子、木野梨楊、斎藤小尋、佐藤秀子、篠崎清寿、島根治美、諏訪間璃奈、関場慶華、芹澤暁子、髙嶋美智子、高橋久実、玉川裕郷、中別府太、永山桂石、貫井蒼谷、野村柚月、長谷川桜香、濱田明美、半田暁子、増川光珠、道信祐三子、美松洋子、室伏美沙、守本規子、八代峰舟、山本幸子、山元聡峰、渡辺慶泉、渡邊岱谿、渡邉忠徳

 

<第四部門=半紙1/2の自由作品>

奨励賞

梶晴山

細谷櫻影

入選

川邊翠藍、河原秋子、権田香水、権田善夫、増田斎子、山口紗知、山本まり子、横川雅周

■受賞者一覧(上)

【特別大賞】

21世紀国際書展グランプリ=種田桃心

自由民主党総裁賞=秋野香花

中国大使館文化部賞=遠藤吟翠

韓国大使館 韓国文化院賞=坂上史芳

大賞・文部科学大臣賞

第1部門=原田華山

第2部門=島田利佳

国際賞

三浦瑛雪

準大賞

原口恵藍

本吉千枝子

産経新聞社賞

孝橋蒼秀

室屋香萌

21世紀国際書会会長賞

今村鶴深

特別賞

神奈川県知事賞=蛭川春陽

神奈川県議会議長賞=土方雲月

厚木市長賞=奥津恵竹

伊勢原市長賞=小林靖愛

小田原市長賞=中原優邑

鎌倉市長賞=大友鶴風

川崎市長賞=鈴木香寶

相模原市長賞=遠藤聖幸

茅ヶ崎市長賞=大久保梅香

秦野市長賞=矢作彩波

平塚市長賞=椎原稲純

藤沢市長賞=荻原楊佳

横須賀市長賞=藤崎紫雲

横浜市長賞=藤井淑光

横浜商工会議所会頭賞=門間雅紹

彫刻の森美術館賞=泉松吟

ニッポン放送賞=昇宏喜

フジテレビジョン賞=佐藤章子

推薦

<教育委員会賞>

神奈川県教育委員会教育長賞=中原慶雲

厚木市教育委員会教育長賞=藤平鶴鳴

伊勢原市教育委員会賞=牧野翠花

小田原市教育委員会賞=藏前充廣

鎌倉市教育委員会賞=増田圭

川崎市教育委員会賞=瀧森彩香

相模原市教育委員会賞=石田千翔

茅ヶ崎市教育委員会賞=中仙道彩華

秦野市教育委員会賞=藤原志峯

平塚市教育委員会賞=髙宮道華

横須賀市教育委員会教育長賞=篠崎清琇

横浜市教育委員会賞=辻村香雲

<民間企業賞>

NTT東日本神奈川事業部賞=倉持庸華

tvk賞=安次嶺秀芳

■グランプリに種田桃心さん

書芸術を通じて国際交流と次代を担う書家の育成を目指す公募展「第41回21世紀国際書展」(主催・産経新聞社、21世紀国際書会)の入賞者が選考の結果、決まりました。

グランプリの種田桃心さん(左上)、自由民主党総裁賞の秋野香花さん(右上)、中国大使館文化部賞の遠藤吟翠さん(左下)、韓国大使館韓国文化院賞の坂上史芳さん(右下)

十分な書歴や実績を持つ審査会員を対象とした特別大賞では、最高位のグランプリに大和市の種田桃心(とうしん)さん(46)が選ばれました。このほか自由民主党総裁賞は静岡・函南町の秋野香花(こうか)さん(76)、中国大使館文化部賞は千葉・佐倉市の遠藤吟翠(ぎんすい)さん(62)、韓国大使館韓国文化院賞は横浜市の坂上史芳(しほう)さん(63)がそれぞれ選出されました。

一方、応募作品の中で最も優秀と認められた大賞の文部科学大臣賞は、第1部門(漢字)が横浜市の原田華山(かざん)さん(61)、第2部門(かな、刻字など)は秦野市の島田利佳(としか)さん(72)がそれぞれ選ばれました。

種田さんは「うれしさと感謝の気持ちでいっぱいです。賞の重みに負けないよう一層研鑽を重ねます」と語り、秋野さんは「身が引き締まる思いです。もっと古典を学び、楽しんで書けるようになりたい」と話した。また、遠藤さんは「受賞は新たなスタート。賞に恥じぬよう精進したい」、坂上さんは「3月に逝去された師匠の島川芳洲先生が(賞を)送ってくださったのだという気持ちが強くこみ上げてきました。」とそれぞれ語った。

文科大臣賞の原田さんは「先生や支えてくださった人への感謝を忘れず、今後も真摯に書と向き合っていきたい」、島田さんは「40年近く教育界で仕事をしていただけに、この賞の受章はありがたい思い」とそれぞれ語った。

21世紀国際書展は7月8~12日、横浜市民ギャラリー(横浜市西区宮崎町)で開催。入場無料。午前10時から午後6時まで(最終日は午後4時まで)。JR桜木町駅前から無料送迎車のサービスがある。問い合わせは同ギャラリー(045・315・2828)。授賞式・祝賀会は7月11日に「HOTEL PLUMM」(同市西区北幸)で行われる。

■募集要項

第41回「21世紀国際書展」では、出展作品を募集しております。


第41回募集要項

ダウンロード

以下のファイルをダウンロードしてご利用ください。